踏まない理由はないけど。

 

今日も、別に元気ではない。

でもちゃんと出社はしたし、体はなんとか問題なく動いている。

 

やる気はないけど、仕事柄、運転はする。

そして、運転中はやることがない。

免許を取りたての頃は、運転するだけで楽しくて、どこにでも行けるような気がしていた。

今も別に運転が嫌いなわけではない。

ただ、毎日通っている道だと、単純に飽きるのだ。

 

どうもやることがなさすぎて、眠気が、まぶたの奥でゆっくり主張し始めた。

何とかするために、気づけばまた「踏まないゲーム」が始まっていた。

 


 

今日はマンホールを踏まない。

昨日はゼブラゾーン、その前は道路の白線。

 

踏んだら即アウト。

でも誰もジャッジしてくれない。

誰にも言えないルールを、自分だけが守っている。

 

右に寄せて、左に避けて、でも交通ルールは守る。

そして、前後左右の車にこのゲームをしていることをばれることも、負けというルールだ。

命がけというほどでもないけど、

ルールがあるだけで、ちょっと気が引き締まる。

 


 

歩いているときも、なんとなく似たことをしている。

タイルの色違いを踏まない、

道路のひび割れを避ける、

こんなことを無意識で行っている。

 

踏んだら何かあるわけじゃない。

でも、踏まなかったときの「ちょっと整った感じ」が好きだ。

 

思い返せば、小学生の頃からそうだった。

横断歩道の白だけ踏んで、黒を避けていた。

あれが、たぶん人生で最初の自分ルールだった気がする。

無意識だったけど、本気だった。

負けても悔しくはないけど、勝ちたいと思ってた。

 

学校に行く途中、いつも通る歩道橋があった。

その歩道橋は古く、苔がたくさんついていた。

その苔を踏まないように階段を上がっていた。

歩きスマホならぬ、歩き苔避けをしていた。

歩きスマホはマナー違反だが、歩き苔避けはどうなんだろう。

 


 

あの頃とあまり変わらず、

私は今も「見えないルール」で今日をやり過ごしている。

このルールは、たぶんこれからもやり続けると思う。

少なくてもやる気がないサラリーマンでいる限りはそうな気がする。

 


 

ちなみに、今日の結果はというと、

今日もマンホールは全避け。

交通ルールも守ったし、眠気も乗り越えた。

大勝利だ。

 

ただ、このルール上は大勝利だが、こんなに幼稚なことをやっている時点でなんとなく負けている気もする。

でもそこは深く考えないことにした。

意外とみんな、”こういうどうでもいいこと”をしているはずだ。

隣の席の上司は、パソコンで作業をしていると、マウスをカンカンッとデスクに打ち付ける。

これがどういう意味なのかは分からないが、

上司も何かのルールで今日も勝利していたのだろう。

勝者同士、たたえあいましょう。

 


 

今日、今まで気づかなかったが会社の廊下に、交互に色違いになっているタイルを見つけた。見つけてしまった。

さすがに、このタイルを踏まないようにすると、

同僚や上司にばれる恐れがあるので、今日の勝負は棄権にさせてもらった。

 

こんなどうでもいいルールを常に守っている。

どうでもいいはずなのに、ちゃんと守った自分がすこしだけ誇らしい。

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

よければ、やさしさにちょっと困った日も。

→ ありがたい、ありがたいんです、が。

 


 

 

#全勝しても誰にも言えないゲーム

#真面目に運転しています

#最初のスポーツは横断歩道だった

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