清々しかった、かもしれない夜

 

会社の飲み会が終わったあと、

いつもより酔ってないことに気が付いた。

運動不足のことも少し気になって、

タクシー乗り場から、少しずつ離れてみた。

 

家までは、徒歩で40分。

しんどいかと思ったけど、久しぶりの散歩は、

わりと悪くなかった。

 


 

途中、自転車に追い抜かれた。

思ったより大きな声で歌っていたらしい。

追い越すタイミングで振り返られた。

もしかしたら明日のライブに向けて声出しをしていると思ったのかな。

勘違いさせて申し訳ない、素人です。

 


 

到着10分前くらいで、喉がカラカラになった。

飲酒のせいか、運動不足か。いや、歌のせいだろう。

何か飲みたいが、コンビニも自販機も見当たらない。

 

自販機は高いからあまり使わないけど、

こういうときくらいは、

「高くてもいいから、出てきてほしい」って思ってる。

 

こういう高くてもいいからって思いながら探すものは大抵見つからない。

これと同じくらい、急に必要になったときの電池も売られてない。

いつもはなぜかレジの横にあって、

見慣れすぎてもう景色になるくらい見てるはずなのに、

いざ買おうとするとどこにもないのだ。

 


 

そうこうしている間に、家までの最後の直線に差し掛かる。

曲がる直前、私の中で「最終コーナーを曲がった!」と実況が入る。

徒歩なのに、気持ちは駅伝のラストスパートだった。

飲み会から繋がれたタスキがもう間も無くゴールへ続く。

 

もちろん、走ってはないが感動のフィナーレ。

 

実際はそんな大したことないんだけど、

自分の足で帰ってきたっていうだけで少しだけ、誇らしかった。

 


 

ドアの前に立ったとき、

ふだんの飲み会帰りにはない清々しさがあった。

 

気持ちは軽くなってたけど、

ふとスマホを見たら、

明日の早朝の予定まで、あと4時間を切っていた。

 

まあいいか、

行くか行かないかは、明日の俺に任せる。

でも、たぶん、行かない。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

駅伝じゃないけどタスキをつないだ夜の、少し前のお話です。

→「ありがたい、ありがたいんです、が。

 

 


 

#駅伝でもないのにラストスパート

#素人が夜道で熱唱中

#自販機にも予定があるらしい

 

 

 

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