ポイントカード、今日も出せなかった。

 

ドラッグストアで、「ポイントカードはお持ちですか?」って聞かれるたびに、

なんか一瞬、動きが止まってしまう。

 

たぶん店員さんは気にもしてないし、

機械的に聞いてるってわかってるんだけど、

こっちはこっちで、毎回ほんの少しだけ悩んでる。

 


 

財布の中には、ちゃんとある。

何回かは使ったこともあるし、ほんの数十円でも“得してる気分”になれるのも知ってる。

でも、なんだろう。出すの、ちょっとためらう。

 

「ケチって思われるかも」

「得しようとしてる感じ、見えすぎるかも」

「そもそも誰もそんなこと思ってないだろ」

って、自分の中で3人くらいが議論して、

結果「いえ、持ってないです」って口が勝手に言ってる。

 


 

そういうとき財布から「なんで出さなかったの?」って顔で見てきてる気がする。

 

たった1ポイントのために葛藤して、

もらい損ねて、

レジを離れたあとに「あ〜……」ってなる。

その“あ〜……”の成分は、金額の損よりも、自意識に負けた自分への呆れ。

 

 

逆に、思いきって出してみた日もある。

何も言われないし、会計もスムーズに終わる。

「なんだ、こんなもんか」って思ってホッとしたのに、

また次の買い物で、同じように迷ってる。

 

 

たぶんこれは、ポイントカードの話じゃない。

“損をしたくない自分”と、“よく見られたい自分”の、

どっちの声を先に聞くかの話。

 

今日もまた、

「ポイントカードはお持ちですか?」と聞かれて、

財布の中でカードを見送った。

ほんとは出したかったのに。

でも、出したくなかった。

 


 

いつか気にせず出せるようになるのか、

それとも気にしなくなる日が先にくるのか。

どちらでもいいけど、

ポイントより、自分の感情を取りこぼしたくないなって思った。

 

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

そんなふうに、ひとつ自分を見送ったあとに、

清々しかった、かもしれない夜がありました。

清々しかった、かもしれない夜

 


 

 

#ポイントより譲れなかったのは自意識でした

#損した気持ちで今日も少しだけ整ってる

#出せなかったものに名前をつけてしまうから

 

 

 

 

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