上司のバグが、今日も出ていた。

 

朝、会社に着いたら、上司が誰かと電話をしていた。

声は荒げていないけれど、

明らかに、機嫌の悪さが漂っていた。

 

たぶん、本社のえらい人。

画面越しのやり取りでも、上司はいつもよりよく喋っていた。

 

電話が終わると、すぐに売上の話になった。

ノルマには届いていなかった。

見込みの確認や、クライアントの現状をひとつずつ報告する。

 

ここまでは、いつものやりとり。

怒られ慣れてるつもりだった。

でも、今日は様子がちがった。

 

月初に申請していた有給の話にまで、話が飛んだ。

 

「ノルマを達成していないのに、休むの?」

「そもそも、先月のあの件だって…」

「その前のミスもそうだけど…」

 

もう、何を話しても通じない空気だった。

 


 

普段は優しい。

部下の結婚にはご祝儀をくれたり、プライベートな悩みの相談に乗ってくれたり。

そういう“いい上司”だった。

 

でも、今日の上司は、明らかにバグっていた。

 


 

理不尽に怒られたとき、

昔は悔しさでいっぱいになってたけど、

最近はちょっとだけ、見方を変えるようになった。

 

バグが出てる日なんだと。

 

機嫌でもなく性格でもなく、ただの一時的な不具合。

そう思うようにしたら、

腹を立てるより先に、バグが直るのを待とうと思えた。

 


 

だから今日は、深呼吸をひとつだけして、

席に戻ってきた。

 

上司のアップデートが無事に終わるまでは、

あまり話しかけない方が良さそうだったから。

 

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

本気を出せる日は、もう少し先かもしれません。

本気出す前に、もう少しだけ。

 


 

#朝からバグで動けない

#このままじゃ一緒にばぐっちゃう

#アップデートされる日を待っている

 

 

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